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乳幼児期こそ注目したい

私が子どもという時、子ども全般に関わりたい気持ちでいっぱいですが主に乳幼児に関わる社会づくりを考えています。

変化が激しく答えが見えないこれからの社会において、自分で考えて行動する自立的で自律的で他者と協調して社会を作っていく人間をどう育てるか。私たち大人は誰しもこれからの教育のあり方を真剣に考えていることでしょう。

例えばOECD(経済協力開発機構)では、2030年に必要な21世紀型コンピテンシー(資質・能力)を提示しており、学力などの認知能力に加えて、目標を持ち関心をもって意欲的に粘り強く、他者と協調して取り組む力である「社会情動的スキル(非認知能力)」を重視しています(OECD“The Future of Education and Skills: Education 2030”)。

アクティブラーニングやプログラミング教育など、大人は何を教えるかに一生懸命です。そして多くの議論や実践は児童期や青年期を対象に行われていることが多いです。しかし、私は乳幼児期こそ社会はエネルギーを割いて真剣に子どもと関わるべきではないか、と考えています。

脳科学や教育心理学、経済学者が共通して着目している時期は乳幼児期。乳幼児は何もできない存在、大人が教えるべき「空っぽのバケツ」のように誤解されやすいですが、実は自ら育つ生命のプログラムを持った「球根」であり、小学校に入る前の乳幼児期の教育こそがその後の人生の土台を作ることが知られています。また、乳幼児期への公的投資(教育や社会福祉)がその後の人生において就学率や学歴、収入、犯罪率等において効果的であることが40歳までの追跡調査で明らかにされています(例:ジェームズ・J・ヘックマン「幼児教育の経済学」)。

そうか、自立した子どもを育てるためには乳幼児期が大事なのね!と理解しました。ところが、私が驚いたデータがあります。日本では乳幼児期の子育てについて不安や孤独を感じている人は多く、子どもを産み育てやすい国だと思う人が5割未満と日本は他国と比べてとても低いのです。

とりわけ、地域や職場など子育てに理解がある環境だと感じている人が少なく、社会全体の優しさや理解があると感じる人はたった1割。


出典:内閣府平成30年版「少子化社会対策白書」のデータに基づいて弊社作成

出典:内閣府平成30年版「少子化社会対策白書」のデータから職場・地域環境に関わる項目を抜粋して弊社作成

人生の土台となる乳幼児期の子育てについて、親は不安や孤独、理解を得ることに心のプレッシャーを感じているとすると、子どもはいくら球根でも伸び伸び育てません。子どもwelcome!(いいね!)と感じるポジティブな社会を作る必要があります。

子育て広場や親子向けイベント、相談センターのような「親子向け」、「要支援者向け」の場に足を運びにくいと感じている人もいます。子育てを通じた社会参加の程度が高いほど子育てを肯定的に感じる傾向もあります。

特別な場所ではなく、子育て前には当たり前に過ごしていた日常生活の中に子育てが溶け込むインクルーシブ社会づくりが求められているのではないでしょうか。

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